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2006年12月29日

2006年12月29日 に関する記事です。
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2006/12/29 Fri

創元社の、「知の再発見双書」シリーズです。

このシリーズは「絵で読む世界文化史」っていうキャッチコピーの通り、
図版が非常に豊富でとても綺麗で見ていて楽しいです。
150ページ程のコンパクトさも好きです。
150ページ程度で図版が豊富なわけですから、文章も少なく読み易いです。

ジプシー。自らをロマと呼び、ロマニー語を話す流浪の民族。

彼らほど、歴史の表舞台には登場しないながら、
現代のヨーロッパ文化に影響を与えている民族はいないでしょう。


世界史の教科書ではほとんど触れられないので、
日本人のジプシーに対する理解は異常に低いですが、
ヨーロッパの文化を理解するためには、
背景にあるジプシーを理解することが絶対必要だと思います。


フラメンコ、チャルダッシュを初めとした各国の代表となるような民族音楽・舞踊も、
また、いかにも純ヨーロッパ的なワルツなどでさえジプシーの影響を受けています。
また、18世紀後半から20世紀初頭までの芸術においても、
オリエント風の絵画では多くのヨーロッパの画家は身近なジプシーをモデルとしましたし、
国民音楽隆盛期のハンガリーのリストやロシアの作曲家達は、
自国独自の音楽をジプシーの音楽のメロディーに見いだしています。


また、21世紀の問題としても、
現在でもヨーロッパには500万とも1000万とも言われるジプシーがいるわけで、
流浪の民である彼らは、行政上の管理が難しく、
いわば難民のような扱いになっている人達も多く、
それが結果的にスリなどの犯罪をする人達が多いのも事実で、
目を離すことのできないものだと思います。


ジプシーの理解への第一歩に、この本は非常に手軽な1冊でお奨めです!

内容は、大きくジプシーの歴史を書いた本編と、
ジプシーの文化・生活を書いた資料編の2部構成、といった感じです。
タイトルにある、「謎」っていうほど謎が解き明かされたものではありません。
寧ろ、読むといかにジプシーがいろいろな面で多様で複雑であるかが分かります。

下記に、目次を記しておきます。
でも、とにかく図版が多くて綺麗なので、まずはパラパラと図版を楽しんでみて下さい!
過去にジプシー音楽のお奨めCDも紹介しているので、そちらもどうぞ。
⇒ジプシー音楽のCD「神技のジプシーバイオリン」の記事
⇒ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」の記事
⇒ヨハン・シュトラウス2世「ジプシー男爵」の記事


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アンリエット アセオ, Henriette Ass´eo, 遠藤 ゆかり, 芝 健介
ジプシーの謎


第1章 ヨーロッパへの定着
第2章 拡散する「ジプシー共同体」
第3章 定住化政策の失敗
第4章 流浪の再開
第5章 ジプシーとヨーロッパのナショナリズム
資料篇 謎の民族とその文化
1 知識人たち、言語、起源
2 家族の文化
3 はみだした社会
4 伝説と信仰
5 音楽について
6 ナチズムの犠牲者
7 現在のジプシー問題


上記の本は、文章が少ないので、よりジプシーについて理解を深めたい方には、
水谷 驍さんの著作が良いのではないかと思います。

水谷 驍
ジプシー 歴史・社会・文化


イアン ハンコック, Ian Hancock, 水谷 驍
ジプシー差別の歴史と構造―パーリア・シンドローム


デーヴィッド・クローウェ, 水谷 驍
ジプシーの歴史 東欧・ロシアのロマ民族



ヴィジュアルに分かる本棚を作りました!
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